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作手郷とオランダ・フランドル絵画

 平日は豊田市の自宅で過ごし、週末は作手の山荘に宿泊。こんな生活を二十年来、続けています。今後もこの生活スタイルは、変わらないでしょう。およそ六十キロ離れたふたつの家を中心に、せいぜい百キロ程度の範囲を行き来しています。

 外国はおろか、国内旅行にすら、ほとんど出かけることはありません。それどころか、東海地方の中心都市である名古屋市にさえ、個人的な理由で出かけることはまずありません。車で一時間弱の距離であるにも、かかわらずです。

 こんなわけで、わたしたち家族は、ある意味たいへん狭い世界で暮らしているとも言えます。ただごくまれに、良い縁に恵まれて、この狭い世界から抜け出すことがあります。先日、「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」を見たのも、その一例です。

 豊田市制60周年記念事業として、8月28日まで開催されています。この企画展の内容および評判については、ネット上で紹介されていますので、ここでは省きましょう。とにかく地方の町では、通常見られない絵画展であることは確かです。市美術館へは、自宅から車で15分。このチャンスを逃す手はないと、期待を胸に出かけました。

 わたしは、絵画に対して特別な興味とか深い関心があるわけではありません。にもかかわらず、この「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」を見たときの感慨。わたしの心は、17世紀のオランダにどっぷりと浸り込んでしまいました。

 このブログでは注目のフェルメール、レンブラントには触れず、風景画についてのみ簡単に記すことにしましょう。現在、一般にオランダ風景といえば、運河や平坦な牧草地に風車とか、あるいは広大なチューリップ畑などを連想します。広々とした平坦な風景です。この平坦な風景をどのように描いているのか、これが素朴なわたしの興味でした。この興味は、高原状の作手郷にもあてはまります。

 さて、実際の作品群です。まず全体に、色調が暗いというのが、第一印象。そしてどの作品にも、平坦な風景というイメージはありません。描かれた当の場所自体は、山ぐにの日本からすれば、平野にあたるものです。それが作品となると、きわめて立体的に表現されているのです。なぜでしょう。暗い色調が、そのひとつの要因です。

 暗い色調が、絵に奥行きと深みを与えています。どの作品にも、茫洋とした光と陰の対比があります。それも特定の物体の光と影が前面に出るのではなく、たとえば空にただよう光と地上全体にただよう陰との対比の中に、それら特定物の光と影が茫洋と配置されているという印象です。この技法が平坦であるはずの風景に、ある深みをいだいた立体感をもたらしています。

 画面に立体感をもたらしているいまひとつの要因は、描く対象の配置です。ほとんどの作品に木立の茂みがあり、暗緑色の葉むらとその下陰の地上風景が、まず目に入ります。そして地上の道の形状や小さく点在する人物に目がゆき、さらに作品上部に広がる大空へと目がさそわれます。こうした視線の流れの中に、わたしたちは、立体的で広やかな空間を意識内におさめることになります。

 その他、道の形状の起伏やその曲線の流れなど、絵画の構成が平板にならないよう、工夫されています。また夜の風景や滝のある風景画なども、やはり暗い光と陰の演出により魅力ある作品となっています。なかでも滝を描いた風景画三点は、わたしの興味を引きました。滝といっても、山ぐにの日本の滝とはかなり違います。せせらぎを少し荒くした程度の滝です。それが深みのある重厚感のただよう作品となって、描かれています。

 最近、作手郷の風景にもの足りなさを感じていたわたしは、ずいぶんと反省をさせられました。作手郷自体の風景が問題ではなく、わたし自身の対象を捉える心の目が貧弱なのです。テレジアの谷風景も、もっともっと深い心で見つめなければなりません。

 最後に蛇足かも知れませんが、付け加えます。美術館で図録を購入しようとしたのですが、画像の色調が実物と違いあまりにも明るすぎるので、結局買いませんでした。同じ絵とは思われないほどです。ほんものの深さを堪能した絵画展でした。

絵画展のポスター
2011080201.jpg
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プロフィール

カイ

Author:カイ
奥三河・作手郷の風景を、「テレジアの森」から、お届けします。2010年9月より、娘の生活、生い立ちをとおして、より深い心の風景としての作手郷を紹介します。

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