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思い出した脳手術

 先々週のことになりますが、本をお借りしました。小倉重成著「自然治癒力を活かせ」。副題は「難病治療の決め手」。帯には「難病克服の基本原則・治験例・体験記」とあります。創元社刊。

 仕事での配達先に鍼灸院があり、たまたま先生からお話をうかがう機会を得ました。いつも訪れる患者さんが多く、特別の治療法でもなさっているんですか、とわたしが聞いたところ、通常の鍼灸とは違います、との答え。違いをかいつまんで話してくださり、そのおりに、この本をお貸しくださったのです。

 信頼する人からすすめられた本は、必ず読まなければならないと思うのが、わたしの気性。優先して読みました。著者(故人)は西洋医学・東洋医学をともに修めた医学博士。町医者としてさまざまな患者の治療に携わり、その体験から、西洋・東洋いずれの医法をもってしても治しきれない病のあることに直面します。そして広く学び研鑽の努力を重ね、自然食療法に光明を見いだします。読み進んだゆくうちに、若い頃のなつかしい思いがこみ上げてきました。

 もう四十年も前のことです。若い男性の多くがそうだと思うのですが、わたしは強健な身体に深いあこがれをいだいていました。筋肉を鍛えることにも、ふつうの人以上に励みました。強健に関わる書物も多く読み、そうした中で出会ったのが、桜沢如一氏のマクロビオティックです。むさぼるように本を読み、玄米根菜食の実践を厳格に行ったものです。その後、結婚をし、妻共々に実践に努めました。

 ところが、そんなわたしたちにたいへん厳しい試練が訪れました。この経緯については、詳細を省き、ごく簡単に記します。生後三ヶ月の娘に、脳動静脈奇形が発覚したのです。入院し、一昼夜のうちに数度の脳手術を受け、生死の境をさまよいました。そして手術後、娘は眠っているのか目覚めているのか判然としない状況に陥り、それが幾日も続きました。

 このとき、若かった妻は自らまさに決死の覚悟をもって、医師の反対を押し切り、娘を退院させたのです。そして病院からのいっさいの服薬を拒否し、マクロビオティックの提唱する食事療法に沿って、夜昼となく看護にあたったのです。そうして生き抜いたのが、今の加奈さんです。

 加奈さんが二十歳になるくらいまで、彼女にだけは、玄米根菜食は厳格に実践しました。その後は、ゆるやかな実践の中で、こんにちに至っています。わたし自身は、いつの頃からか、仕事の関係もあり、玄米を食べることもなくなりました。正食からはなれ、本を読み学ぶこともなく、若い頃からすればずいぶんだらしのない生活を送っています。このような事情のせいで、今回お借りした本を読み進むうちに、若い頃を思い出し、なつかしさをおぼえたというわけです。

 さて小倉氏は、健康を得るための大原則として、次の六つのカテゴリーを唱えています。心、姿勢、呼吸、食べ方、鍛錬、環境。いずれもわたしの体験上、なっとくできることばかりです。加えて、本をお貸しくださった鍼灸院の先生は、腹を冷やさないようにとおっしゃいました。いまのわたしの生活を反省し、ただ単に読んだということに終わらず、今度ばかりは具体的な実践をはかります。

小倉重成著「自然治癒力を活かせ」。
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今では、とっても元気な加奈さん。マスクは杉花粉対策。
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2011.4.3.撮影

苑の山道を歩きます。
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2011.4.3.撮影

ヤマモモの木の前で。
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2011.4.3.撮影
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カイ

Author:カイ
奥三河・作手郷の風景を、「テレジアの森」から、お届けします。2010年9月より、娘の生活、生い立ちをとおして、より深い心の風景としての作手郷を紹介します。

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