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森の木、ミツバツツジ

 ツツジ科の落葉低木。中部地方を中心に太平洋側に分布。痩せ土の山などに生育します。若葉の出る前に紅紫色の花が咲き、名前の由来は、枝先に三枚の葉がつくことから。トウゴクミツバツツジなど多くの種類があり、作手のものは、コバノミツバツツジです。

 愛知県三河地方に住んだ人なら、おそらく誰もが目にはしているツツジです。このことは中部地方全体にも言い得ることであり、つまりそれほどにありふれた木ということになります。ただ、その木の花を見ているにもかかわらず、その木の名を知り、意識する人は少ないかも知れません。

 名古屋市の中心ビル街から、ほんの三十分ほど車で走れば、若葉の郊外に、その花をありふれて見ることができます。あまりにもありふれているため、目にはしても人の意識には残らないようです。実に無造作に雑木林の中にその花を見たりします。

 不思議な花だと思います。一般には紅紫色と表現されますが、凡庸な花の色という印象です。ヤマツツジほど鮮やかな紅ではありませんし、レンゲツツジほどの大輪の華やかさはありません。平凡な花だと思います。しかしありふれていながら、なぜか不思議に、わたしは惹きつけられます。

 ミツバツツジの花の咲くさまは、わたしの幼かった頃の思い出によみがえります。春の弘法さんの命日に、山路をめぐり歩いた記憶です。頭上にはヤマザクラの白い花がそよぎ、背丈ほどの目に近く、ミツバツツジのうすくれないの花が咲いていました。そうした山路をめぐり歩き、幼いわたしは、ふるまわれることのささやかな喜びを感じていました。戦後の貧しい時代であり、ことのほかわたしの家庭が貧しかった頃です。

五分咲きほど。
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三メーターほどあります。
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赤松を背景に。
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山路を散歩。
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杖をついて。
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笑いながら。
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何がおかしいのでしょう。
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4.21撮影
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自宅裏山

 毎春恒例の、日曜が自宅自治区の総会であったため、作手行きは中止。日帰りということも選択肢にはあるのですが、最近のガソリン価格上昇の折、とくに作手に用がない限り、やはり日帰りはためらわれます。

 豊田市自宅付近の山々は、いま若葉萌えのまっ盛り。裏山のこだちの若葉がとても明るくまた美しく、写真に撮りました。写真だけ見ると、こんなに自然があるのだから、わざわざ作手まで行かなくても、と思われるかも知れません。

 写真のように限られた場所だけ写せば、また音もしなければ、一見そのようにも思えます。でも実際は、通りを行き交う車やバイクの騒音に一日中さらされていますし、さらにいまは近くの橋梁工事の重機の音が加わっています。

 家の目の前には信号機あり、張りめぐる電線あり、むろん人家もあり、また視界からは外れていますが、ちょっと離れれば古タイヤの乱れた置き場があったり、見た目にも清潔とは言えないスレートの倉庫工場があったりと、とにかくこれらが全体として、ごちゃごちゃと点在した近隣里風景です。

 これらの風景に比較すると、作手はやはり、 いまだなお美しく清潔な高原の里といえるでしょう。ただこの環境がいつまで保たれるかは、とても危惧されるのですが。

二階のベランダから。淡いみどりはコナラなど。
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まんなかの白っぽいのが、ヤマザクラ。
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向かって左は樫の茂り。
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4.16撮影

苑の花、オオイヌノフグリ。

 学名-Veronica persica。ゴマノハグサ科。西アジア原産。明治期に帰化し、現在、日本全国の路傍や畑の周辺などに、ありふれて見られます。空色のちいさな花で、萌え草の中に可憐な群生をなします。時には可憐さを越え、まるで地上に星空を見て居るような、はっとするほどの美しい群生を見せたりします。あまりにも平凡であるため、その美しさを意識する人は、少ないようです。

 わたし自身、この花に対しては、少々複雑な気持ちがあります。まずはそのひとつ、名称。一部の人々が指摘するように、花のイメージとその名の持つ意味とが、どうしても合致しないのです。広辞苑でも明確に記されているとおり、ふぐりとは即ち「きんたま」。つまり「犬のきんたま」。イヌノフグリの語感そのものはユーモラスな感じですが、意味からすればやはり花のイメージとは合いません。オオイヌノフグリの名称は、もともと在来種であったイヌノフグリに由来します。その果実の形象から、牧野富太郎博士が命名しました。

 ちなみに別名は、 瑠璃唐草、天人唐草、星の瞳など。またフランスでは「ペルシャの聖人」、イギリスでは「小鳥の瞳」、中国では「地錦」など。それぞれに花のイメージに沿った名前です。極め付きは、その学名-Veronica persica。ペルシャのベロニカ(ウェロニカ)。ベロニカはキリスト教における伝説の聖女。十字架を背負うイエスに、血の汗をぬぐうための亜麻布を差し出した女性です。野に咲く花を聖女に見立てるその発想。反してわが日本では、ああ「犬のきんたま」。実に即物的な命名です。日本人の性格がよく表れているようにも思います。まあわたしは、それで良しとしますが。

 いまひとつは、帰化植物であること。このオオイヌノフグリにより、先に記した在来種であるイヌノフグリが駆逐され、絶滅の危機に瀕しているからです。この外来種と在来種の問題は、わたしにはとても難しい問題であり、残念ながらお手上げです。時折外来の新種の草花を路傍などで見たりすると、その花の可憐さとは裏腹に、わたしは複雑なもやもやとした気分になります。

※ 青空の 光恋うるや 天に向き イヌノフグリの 瑠璃の花咲く
※ 草萌えの 山畑の辺に 星のごと イヌノフグリの 瑠璃の花咲く
※ 地に空の 星を見るごと いと小さき イヌノフグリの 瑠璃の花咲く

  (これらの歌のイヌノフグリはオオイヌノフグリをさします)

下手な写真では、可憐さがあらわれません。
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いつもの、加奈さん。あいかわらず元気です。
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4.8撮影

森の木、ミツマタ。

 ジンチョウゲ科の落葉低木。中国南部やヒマラヤ地方の原産で、日本では東北地方以西に生育し、西日本の暖地が栽培適地。新枝が三つにわかれるという特徴から、ミツマタの名がつきました。和紙、とくに明治以降は高級紙幣の原料として栽培されていましたが、近年は安価な輸入材の影響で、国内における栽培・生産が激減しています。それにしても一万円札、ミツマタだなんて、ミツマタが急にいとおしくなりますね。

 ミツマタの花を、わたしどもの山に庭木として植栽したのは、十年ほど前のことです。それまでは、実はわたしも妻も、ミツマタの花を知りませんでした。豊田市自宅あたりでは、見たことがなかったのです。2013年現在、注意してみても、自宅付近では見かけません。この時期少し前の豊田辺りでは、サンシュユの黄の花が一般的。反して作手では、ミツマタの花がごくふつうに庭木の花として、見られます。

 ミツマタは、なんといっても、その花の可愛らしさが特徴です。小さなラッパ状の黄色な花を集め、その花の集まりが点々といくつも枝に垂れる可憐さは、わたしが老いたせいなのか、とりわけけ愛らしく感じられます。くわえてその香り。漢名は結香、黄瑞香。読みは分かりませんが。その文字の記すとおり、ひきしまった芳しい微妙な香りを放っています。

 万葉集に詠まれるサキクサは、このミツマタであるとの説があります。その正否は別として、心情としては頷かされます。山上憶良の亡き子を偲ぶ長歌(5-904)の一節、「 父母(ちちはは)も うへは なさかり さきくさの 中にを寝むと……」。お父さん、お母さん、そばを離れないで、サキクサのように、ふたりの間に眠るから……。この挽歌にうたわれる子どもの心情と、ミツマタの花の愛らしさが呼応しているようにさえ思われます。

※ 黄の色の 小花もひらく ミツマタの 灰みおびたる 蕾もやさし
※ 不思議なる 明るさをもつ 青空と かなしみ仰ぐ 今日の青空
※ 歌声の ほそくやさしく 降るごとく 青き空あり わが山峡に

ミツマタの花。
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アップ。
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テレジアの苑では、春到来の花。
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3.24撮影
プロフィール

カイ

Author:カイ
奥三河・作手郷の風景を、「テレジアの森」から、お届けします。2010年9月より、娘の生活、生い立ちをとおして、より深い心の風景としての作手郷を紹介します。

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