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やじ馬根性

 救急車? 消防車? 作手には珍しいサイレンの音がしました。それも山荘のすぐ近くです。日曜の昼、食事を済ませて休んでいた時のことでした。事故だろうか、火事だろうか。妻と顔を見合わせました。山荘のめぐりは山ばかりですので、けたたましい音だけが聞こえます。

 しばらくして音が遠のき、かと思うとふたたびサイレンの音が身近に迫ります。どこだろう、近くであることには間違いありません。火事ならたいへんなことになります。山火事にもなりかねません。そんなふうに思っているうちに、今度はヘリコプターの音がしてきました。妻は窓から身を乗り出し、わたしは外に出ました。

 音は次第に、わたしどもの谷に近づいてきます。しばらくして西の山の端からヘリコプターがあらわれ、谷の上の空をよぎり、南東の山の端へと消えました。いったん山の陰に消えた機体でしたが、またすぐに空にあらわれ、北に梶を切りまた西の空へと帰ってゆきます。わたしどもの谷の辺りを中心に何かを探しているようでした。

 何があったんだろう、音が遠のき、離れた位置の妻と言葉を交わしているうちに、またヘリコプターの音が近づいてきました。そして先ほどと同じ飛行をくり返します。時折、地上のサイレンの音も混じります。ふたたび音が遠のき、しばらくしてまたヘリコプターの音。今度はかなり低い高度を飛行している音です。

 とみるみるうちに、わたしどもの谷の山すれすれに機体があらわれました。機体の腹がはっきりと見えます。機体の文字も見えます。地響きするかと思うほどの、すごい爆音です。谷の上の空を旋回します。まるでわたしたちの谷を中心に旋回しているかのようです。妻もわたしも、ただただ驚き仰ぎ見るばかり。どこか近くに、着陸するはずです。

 機体は、南東の山の向こうの空で止まり、向きを変え、そのまま下降してゆき、山の陰に見えなくなりました。「ドクターヘリ、ドクターヘリよ、田んぼに降りた、見に行くよ」。妻は叫ぶやいなや、山荘を飛び出し駆け出しました。わたしは、写真を撮ろうと思い、山荘に駆け込みました。そしてカメラを持って妻のあとを追っかけました。

 ところが一瞬、カメラを持つのがためらわれました。また山荘に戻り、カメラを置いて妻のあとを追いました。なんと妻の駆け足の早いことでしょう。あの小さな丸い体が、はるかわたしの前にありました。山あいの道を百メートルほど駆け抜け、わたしたちは、草の刈られた休耕田の中に、かのヘリコプターを見たのでした。

 道の中央には、救急車、消防車が止まり、やや離れた休耕田の中には、ヘリコプター。もとより人の少ない集落。救急隊員の人らより少ない人影。病の人を搬送する人ら。わたしと妻は、ただ見ているほかありませんでした。近隣のSさんの、おじいさんかおばあさんのどちらかかが、緊急に搬送されることになったのでしょうか。

 やじ馬根性丸出しで、申し訳ありません。病の人を受け入れたヘリコプターの離陸は、さながら映画のワンシーンを見ているようでした。エンジン音が轟くと、周囲の田んぼにふわっと風が吹き、軽やかに機体が浮かびます。そしておもむろに空を移り、いつしか山の陰に消えてゆきました。おそらく、一生に一度の体験でしょう。

作手高原鉄道。
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こんなふうに乗車。レールがうっすらと見えます。
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シダの葉に散った花。見上げたら、ウメモドキでした。
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シモツケ。紅の差した白花。
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アジサイ。これくらいの咲き始めが、きれいだと思います。
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シモツケの紅の花。
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ウツボグサ。以前はありふれた花だったのに、今年はほとんど見かけません。
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カキラン。絶えもせず、毎年花を咲かせます。
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ササユリ。テレジアの苑、ほんとうに絶滅寸前です。。
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風が吹いたら、ひらいた花が揺れ、雌しべがふるえました。
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6.24撮影。
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日帰り

 日曜は、豊田市自治区の草刈り。そのため作手には、月曜に日帰りで行きました。朝の九時に自宅を出発し、買い物などもして、夕方17時に帰宅しました。山にいる時間は、せいぜい五時間くらいでしたが、雨も降らず、親子三人外に出て、予定していた作業を済ますことができました。

 たとえ日帰りでも、毎週作手にゆくのは、いくつかの理由があります。そのうちのひとつに、加奈さんのため、ということがあります。デイが休みで自宅に居る場合、加奈さんは、結局一日中テレビの前に座っているだけです。自分からは何もできないので、テレビのチャンネルを変えることもできません。

 作手の山でも、やはり何もできません。外で腰を掛けて、妻とわたしの作業を見ているだけです。それでもテレビを見ているよりはましです。時々声を掛けたりもできますし、加奈さんにしても、鳥や虫たちの動きをそれなりに観察しているらしく、鳥だよ、蜂だよ、などと言いながら、恐れるわけでもないのに、たとえば蜂を避けるようなパフォーマンスをしたりします。

 行き帰りの車の中では、ラジオをかけます。行きはFMの音楽番組、帰りはNHKのトーク番組、とたいてい決まっています。加奈さんは音楽が大好きです。クラッシックからポップまで、メロディをなんなく口ずさむことができます。トークも大好きです。車の中で、みんなで大笑いしたりします。

 加奈さんがいればこその、作手の山行きです。さて今日火曜は、台風4号接近。被害の大きくならないよう、願っています。

これはなんでしょうか。答え、鹿に食われたギボウシの葉っぱです。
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ササユリの蕾。今のところ、鹿に食われていません。
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ヤマオダマキ。
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ウツギ、平凡な花です。その他イボタも満開。写真には撮りませんが。
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梅雨時のもみじ。
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帰る頃になり、少し晴れ間が。
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コアジサイと、カワラナデシコを陶のカップに。
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6.18撮影

鹿狩り

 土曜の午後は、舗装路の路肩の草刈りをしました。先の週は湿地側を、この週は、わたしどもの山に接する側の路肩です。草が伸びきって固くならない前に刈りますので、サクサクとして気持がよいくらいに刈ることができます。わたしひとりで、休みながら、また路肩周辺の木草の花やつぼみを確かめながら、楽しんで刈りました。

 ほぼ刈り終わり、草をかき集めていた時です。突然、遠くで犬の鋭く吠える声がしました。そして瞬間、舗装路をよぎる黒っぽい影がわたしの目に入りました。向かいの杉・檜の林を飛び出し、舗装路をよぎって隣の山の茂みに隠れたのです。ほんの一瞬のことでした。猟だと直感しましたので、野ウサギかと思ったのですが、野ウサギにしては大きく、鹿の子だろうかと思い直しました。

 そうこうしているうちに、まもなく軽トラックと軽貨物車がやってきて、刈り草を集めているわたしの近くに止まりました。車から降り立った人が犬を呼ぶと、猟犬が林の中から飛び出してきて駆け寄ります。猟を終えるらしく、軽トラックの荷台に犬を乗せました。立ち去る前に、わたしは声をかけてみました。

 話を聞くと、やはり鹿を追っているとのこと。でも鹿肉のためではないそうです。この時期の鹿肉はとても不味く、お金にはならないとのこと。そうではなく、獣害駆除なのだそうです。一匹幾らかで、駆除料がでるとのことでした。狩人は認可制。わたしたちもさんざん鹿には悩まされているので、とてもありがたいと思いました。

 ただ、日を経て思ったことがあります。もし猟犬に追われた鹿に一般車がぶつかった場合、車の修繕費用はどうなるのだろうか、ということです。以前、わたしたちの車も鹿と衝突をしています。単にありがたく思えていた鹿狩りが、いきなり難しい問題に見えてきました。

つゆ晴れの空。
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木陰
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季節の花、コアジサイ。
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季節の花、エゴノキ。
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ふつうは白花ですが、この木の花はピンクが差しています。
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もみじ。
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山みち。
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コナラの木立。
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6.10撮影

羽虫たちの天国

 テレジアの森は、若葉というよりすでに青葉のみどりとなりました。谷を吹きのぼる風に、木立の葉むらは大きく揺らぎ靡き、木立の枝垂れみどりに日の差せば、葉の先から光がしたたります。

 山荘へとつづくゆるやかな坂路には、フランス菊の花が波のうねりをなして咲き連なっています。その中に混じり、ブタナの清かな黄の色の花が、おちこちに踊ります。テレジアの苑は、いまだなお、清楚な華やぎにあふれています。

 森のみどりの藪陰には、ヤマツツジの花がわずかに散り残り、あざやぐ朱の色を見せています。そしていまの盛りの花は、ベニバナノツクバネウツギ。青葉の森につつましやかな華やぎを添えています。

 おびただしい数の花に、おびただしい数の羽虫たち。花に止まり、蜜を吸います。大きな花には大きな羽虫が、ちいさな花にはちいさな羽虫。ひとつの花には、ひとつの羽虫。花の天国は、羽虫たちの天国です。

ヘラオオバコ。ハーブの一種で、おもしろいかたちですが、
繁殖力が強いので、駆除するつもりです。
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今年はなぜか、葉の先端が赤味がかっている木が目立ちます。
これは、ネジキ。
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うっすらと茜の差す若葉。
苗木から三年ほどの、カツラの若い木です。
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6.3撮影
プロフィール

カイ

Author:カイ
奥三河・作手郷の風景を、「テレジアの森」から、お届けします。2010年9月より、娘の生活、生い立ちをとおして、より深い心の風景としての作手郷を紹介します。

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