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がっかり、反転、幸福

 空に向かい、心がスコーンと抜けるような、それは晴れやかな風景でした。山の上の小高い斜面に立つわたしたち。その前方やや下には、山を切り開いた平らかなハウス農園がいく段にもわたり広がっています。さらにその向こうには、波状の山々が果てもなく連なりつづいています。
 山の上に立つのは、わたしと妻とMさん、そして車の中の加奈さんだけ。ほかには誰も居ません。秋の日の静寂がわたしたちを包んでいます。この素晴らしい風景を前にした瞬間、わたしの心は氷解し、さわやかな幸福感に満たされました。

 ことの成り行きは、およそ次のとおりです。

 先週に引き続き、26日土曜の朝、わたしたちは下山和合地区の花屋さんに立ち寄りました。先週買ったシクラメンが少しもの足りなく思い、さらにふた鉢、おおぶりの花を電話で予約していたのです。今年お世話になった方に、お贈りするためです。
 シクラメンなど、どこにでも売っているのですが、この花屋さんの品は花付きがとても良く、うまくゆけば次の年にも花を咲かせたりします。それで山あいのほとんど目に付かない花屋さんなのに、けっこうなファン客がいます。わたしの妻もそのひとりで、そこで働く女性の方たち(とくにMさん)とも、まるで友達感覚です。
 朝、十時頃着きましたら、さっそく店員のMさんのほうから声をかけられました。手違いがあり、ひとつしか用意できなかったというのです。普通の買い物ならば苦情もの。けれどそうはならないのが、ふだんの人づきあい。Mサンと妻は額を合わせてなにやらひそひそ。わたしは正直なところ、無ければ店に陳列してあるシクラメンでよいではないかと、思いました。
 話が長くなりますので経過は省きますが、結局なんとたったひと鉢のため、山の上の農園までシクラメンを取りにゆくはめになりました。曲がりくねった細い山道を、農園へと、Mさんの車のあとにわたしたちは従ったのです。内心わたしは、三河湖の紅葉を見る予定だったのになぁ、と少々がっかり気分でした。
 
 車をゆっくりと十分近く走らせ、山を登り切り、高原を過ぎ、少し下ったところを左の脇道に入ったとたん、わたしのそれまでの鬱気分は吹っとんでしまいました。冒頭に記した農園風景が広がっていたのです。路をさらにゆるゆると車を進め、もっとも奥の小高いハウス広場へと着いたのです。

 Mさんの笑顔に手招かれ、妻とわたしは、ハウスの中へと入りました。そこはもう、シクラメンがびっしり。Mさんの案内で、ハウスを次から次へと行き来します。花のさまざまなかたちや色に、壮観ささえ感じます。驚嘆の声をあげながら、妻は顔を輝かせます。園芸種にあまり興味のないわたしでも、見応え充分な光景です。
 Mさんは、いま開発中なの、と言って或るシクラメンのところに案内してくれました。一群のそれらを見わたしても、花がほとんど付いていません。ふた鉢だけ、かろうじて花が付いています。よく見ると、淡い黄色です。Mさんによれば、いま黄色のシクラメンを開発中だとのこと。花付きが悪く、病害虫にも弱いため、いまだ商品化には及ばないそうです。そんなこんなの楽しい話に、時間があっという間に過ぎてしまいました。
 すばらしい風景を見せてくださったMさんに礼を述べ、わたしたちは、作手へと山道をくだってゆきました。

いきなりの寒さで、加奈さんが風邪をひいてしまいました。シクラメンを横に。
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丸太の上のシクラメン。Mさんの好意で、鉢を取り替えてくれました。
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少しアップ。
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もうひと鉢のシクラメン。山の上のハウスで、妻が選んだもの。
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アップ。
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もみじに垂れる朝露を撮ったつもりですが、蛇足……。
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山で採ったヤブコウジとミズゴケを小鉢に。
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以上、2011.11.27撮影
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加奈さんにプレゼント

 土曜が雨でしたので、日曜、日帰りで作手に行きました。道の駅のいつもの豆腐屋さんの話によれば、土曜はかなり激しい雨風だったとのこと。三河湖経由でしたが、道中の山道はもみじの落ち葉がいっぱいで、まだ濡れた舗装路に張り付くように散らばっていました。作手の風は冷たく吹き、テレジアの山をひとめぐりして、昼食後、帰路に着きました。山のもみじは、黄葉から紅葉へと変わっていました。

 ところで三河湖を経由したのは、例年通り、花屋さんでシクラメンを買うためと、ハム工房山遊里で、妻の実家にお歳暮を送るためでした。その「やまゆり」で、娘の加奈さんに思いがけないプレゼントをいただきました。まったく見知らぬ方が、加奈さんに「これ食べてね」と、プラスチック容器に入った生姜の佃煮を手渡してくださったのです。

 実はわたしも妻も、それぞれに店内を見ていたので、加奈さんがいただいた時、その場にはいなかったのです。加奈さんの、ありがとうございます、という大きな声が店内に何度も響き、それで知ったのです。その方はすっとその場を立ち去られたので、その背姿に向かって妻があわてて礼を言い、わたしはなんのことか分からず、きょとんとしていたのです。

 いただいた「生姜の佃煮」は商品のようでしたので、会計のさい、レジの女性にその旨を告げましたら、承知していたらしく、快く応対をしてくれました。くださったややご高齢の女性は、山遊里に手作り食品をいつも納めているショウさんという方で、その味はお客さまにとっても評判とのこと。またとっても良い人だということも、教えていただきました。

 原田昭。帰って、夕食のさい、容器をあらためて見ましたら、ラベルにそう印字してありました。味は、たしかに旨い。原田昭さん、ありがとうございました。加奈さんを中心に、三人でいただきました。

黄葉から紅葉へ。
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いつもの位置から。
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紅葉の山路をのぼる加奈さん。
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もみじをアップ。
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こちらはシロモジの黄葉。
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これはコアジサイの黄葉です。
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すっかり葉を落としたコシアブラ。
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山の中腹のもみじ。
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ヤマモモの木の下で、加奈さんをモデルに。
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もう一枚。
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もう一枚。
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ふり返って、山荘の遠景です。
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墓に供えるシキミを採るお母さんと、見守る加奈さん。
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山路を引き返します。
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くだってゆきます。
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上を見るとこんなもみじ。左下の赤はヤマボウシ、斜めの黄色はコナラ。
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紅葉の山路をくだる加奈さん。
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もみじの向こうの山荘。
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散り残るコシアブラの黄葉。
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以上、2011.11.20撮影

つくで祭り

 13日のつくで祭りに行ってきました。開催時刻は十時からですが、その一時間前には会場に入りました。すでにたくさんの人々が詰めかけていました。

 今回の一番の目的は、すり鉢とすりこぎを買うこと。去年手にしたものがとても気に入り、もうひとセット、買うことにしたのです。

 去年のすり鉢は瀬戸物。すりこぎは、自然愛好会会員の鳥山さんの手作り品。町のホームセンターなどで売られているものとは、格段の違いがあります。

 今回は唐津焼のすり鉢にしました。擂る部位には鉄分が含まれ、鋭くやや赤い色をしています。すりこぎは、去年が細めでしたので、今年はやや太いものを買いました。

 一生の(……といってもあまり長くはない命ですが)、愛用品となることでしょう。その夜の食事には、山で掘った自然薯で、さっそくとろろ汁をつくりました。

祭りの前、深夜二時。月の光が冴えわたる山峡でした。
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翌朝、山荘の窓を隔てて。
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ピンボケですが、実はこれ、鳥の巣箱から顔を出しているアマガエルです。祭りに出かける前に。
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祭りの会場です。秋の日差しの快い、絶好の祭り日和でした。
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全国発動機愛好会の会場も並置されています。
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ぽんぽんぽんと軽い音を立て、鉄の輪っぱが回っていました。
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会場の遠景。
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中ほどのテントが休憩どころ。周囲にはいろんなお店が並んでいます。
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すり鉢とすりこぎ。すりこぎには、鳥山さんの焼き印があります。材は山椒の木です。
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以上、2011.11.12-13撮影

輝くばかりの黄葉

 週末が曇り及び雨模様の天気でしたので、晴れ上がった月曜に、日帰りで作手に行きました。想像以上の黄葉でした。

着いてびっくり。真っ盛りの黄葉に出会いました。
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日の光を浴びて、輝くばかりです。
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足もとを見れば、イチョウ落ち葉、柿落ち葉の路です。
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拡大。
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もう一度、イチョウの黄葉を見上げます。
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山路を行くと、こんなものに出会いました。キノコの一種でしょうか。
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東の山から見下ろした、山荘と黄葉です。
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さらに奥へと、妻のあとに従います。
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山を下る途中、ホソバリンドウに出会いました。
今年は、センブリにリンドウの花がいっぱいでした。
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東の山を写したものです。
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山を下り、何度もイチョウの黄葉を見上げました。
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黄葉と東の山。
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舗装路に出て、変な角度から写してみました。
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最後に、最初と同じ位置で、写してみました。
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以上、2011.11.6撮影

芋の子汁

 30日の日曜夜は、友人ひとりと私たち家族の四人で、ささやかな芋煮会をひらきました。本来なら、作手の山で秋の光を浴びながらの会食ですが、友人の仕事の都合もあり、毎年豊田の自宅で楽しんでいます。

 芋の子汁をみんなで食べる楽しみは、岩手の盛岡で知りました。もう四十年近く前のことです。盛岡は青春の思い出の地。輝くような思い出もあれば、辛い辛い記憶もあります。その頃も同じ友人と私たち家族で、芋の子汁を楽しみました。

 ところで、こちら愛知の人々にしてみれば、芋の子汁というのは、馴染みが無いのではないでしょうか。代わりにとん汁が一般的のようです。両者の違いは、まず醤油味とみそ味。メーンの具は、里芋に対して豚肉。芋の子汁に使用する肉は、東北の地方により異なり、私たちは牛肉を使います。

 この芋の子汁には、毎年、作手の山で採ったキノコを入れています。それで29日の土曜にいつも通り作手に出かけました。光が降り注ぐほどのとても良い天気に恵まれ、キノコを求めて山を巡りました。ところが、なんと収穫はゼロ。こんなことは初めてです。ありふれてどこにでもあるはずのキノコが、まったく見あたりません。

 収穫できなかったのは、実はキノコばかりではありません。山荘の庭のハチヤ柿も、ほぼ全滅状態でした。一年をふり返り、気候変動を痛感します。3.11の地震に大津波、台風十二号の記録的な豪雨。自然の変化に敏感な地域ほど、災害が集中している印象を受けます。作手の里も、わずかながらもそれなりの影響を受けているのでしょう。

 翌朝、三河湖経由で帰路につきました。途中で湧き水を汲み、十時少し前、いつもの下山和合地区の花屋さんに立ち寄りました。感謝セールのため、小豆ご飯に豚汁がふるまわれましたので、妻子と三人、たくさんの人たちにまじっていただきました。そしてシクラメンを買い、ついでに作手の山で採れなかったキノコにハチヤ柿も買いました。

山荘へのちょっとした抜け道にて。いつも通る路です。
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その家では、鵞鳥などを飼っています。
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見ていると、面白いものです。
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翌朝、山荘の窓から湿地に向けて。朝靄が立ちこめています。
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外に出てみたら、北の山斜面が朝焼けをしていました。
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朝靄の中の、シロモジの黄葉です。
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いつもの位置から、いつもの山斜面を写しました。
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以上、2011.10.29-30撮影
プロフィール

カイ

Author:カイ
奥三河・作手郷の風景を、「テレジアの森」から、お届けします。2010年9月より、娘の生活、生い立ちをとおして、より深い心の風景としての作手郷を紹介します。

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