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凍りついた悲しみ

 Yさんから、絵はがきが届きました。横長の裏面に、白い樹氷林と青い空の風景。青い空には、LATE・WINTER GREETINGS の白抜き文字が、樹氷林をおおうようになだらかな弧を描いています。

 そしてその下中央、白い樹氷林の前面に小さな黒文字で、この冬ご主人が亡くなられたことが簡潔に記されていました。Yさんとわたしとはほぼ同年代。ご主人もまだまだお若いはず。わたしの胸にスゥーッと、かすかな風が吹きました。

 Yさんらしい、ハガキだなと思います。透明感のある色彩風景。文字スタイルは細めのゴシック。凍りついた悲しみを、やわらかな光がつつんでいるようです。白い樹氷林にこめられた悲しみを、冬の青空がつつんでいるようです。

 わたしには、言葉もありません。Yさんの心に、やがて春の訪れることを祈るばかりです。

テレジアの森では、小さな春が。

フクジュソウ。
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2011.2.26撮影

マンサク。
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2011.2.26撮影
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ふたつの出会い

 先週17日の木曜は、すてきな本との出会いがありました。仕事で配達のさい、お客さまから写真集をいただいたのです。片手をひろげた幅に収まるくらいの、小ぶりな写真集です。著者は前田真三。氏には著名な写真集『奥三河』があります。それを要約した感じの本です。

 わたしは写真のことは分かりません。でも短歌を詠む関係で、風景の切り取り方など、学ぶべき点は多々あるのではないかと思います。撮影対象は豊根村を主として、設楽、足助、鳳来などの奥三河風景。残念ながら、作手郷の風景は、ないようです。

 前書きの最初に、次の文があります。「奥三河に通いはじめた当初は、あまり見ばえのしない山村風景が広がるばかりだと思っていた。……」。この氏の言葉は、まさにわたし自身がふだん感じていることです。わたしたちが見慣れた風景を、前田氏はいかにして心の風景として再生し、かつそれをどのように写し撮ったのか、じっくり学んでみたいと思います。

 浮き立つ気分で仕事から帰ったら、少し厚めの郵便封筒が届いていました。開けたらなんと、ブログでおなじみの森楽さんの随想集が二部。「野の花、空の鳥を見よ!」。一部をさっそく妹家族に届け、この日の夜は、上記の「前田真三写真集」と森楽さんの随想集を拾い読みして楽しみました。

 「野の花、空の鳥を見よ!」。平明なこの表題に反し、森楽さんの随想集は、かなり難しい内容です。表題は、聖書のことばに由来します。そしてそこから発せられる森楽さんの想念は、伝統的な神学批判、現代文明批判にまで及んでいます。

 森楽さんの人格・思想形成には、大きく言って次の三点があります。まず真摯なキリスト者として。そして自然地理学を専門とする教育者として。さらに市民運動の実践者として。これらの要素が複雑に関係し合い、今回の随想集にまとめられたものと思います。随想集とはいえ、パスカルのパンセに類するものではないでしょうか。

 なお、すてきな表紙の写真は、キセルアザミの蜜を吸うツマグロヒョウモン。キセルアザミは冷涼な作手郷の在来種。ツマグロヒョウモンは、地球温暖化の指標種とのこと。この写真がすでに、森楽さんの思想展開を暗示しています。

 たった一日で、こんなにすばらしい出会いがふたつもあるなんて。とにかく熟読し、熟考し、学びたいと思います。

前田真三写真集。
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野の花、空の鳥を見よ!
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 ところで19、20日の週末は、ひさしぶりの小春日和。山の管理作業で、気持ちよく疲れることができました。シルバーの竹内さんと、立ち枯れ松の伐採の打ち合わせや、木の植え替えなど、こまごまとした作業。娘の加奈さんも、杖を片手に山をひとめぐりしました。

鹿騒動

 テレジアの森にあらわれる鹿については、このブログでもたびたび書きました。谷を疾走する鹿の群れ。ゆうぜんと朝の湿地をわたる鹿の群れ。見るとたいていは、子連れです。こうした一風景としての鹿は、たしかに絵になります。

 でもわたしたちにとり、困りものであることも事実です。山の畑の野菜を食べ尽くすので、菜園づくりはほぼあきらめています。貴重な自生のササユリやリンドウなどの蕾を食べるので、ネットを張り、保護しなければなりません。

 さらには、わたしどもの車に鹿が衝突し、何万円もの修理代を払わされたこともあります。その鹿もけがをし、おそらくどこかで野たれ死んだことでしょう。でもかわいそうな鹿だなどと、言ってはおられません。わたしたちにとって鹿は、ほんとうに「うましか野郎」なのです。

 そんな鹿のある顛末を、同じ作手郷の森楽さんが、写真におさめました。たいへんめずらしい記事と写真なので、ぜひごらんください。わたしたちの山荘から森楽さん宅の裏山までは、自転車で手軽な距離です。しとめられた鹿も、あるいはテレジアの森にあらわれていたのかも知れません。

 面白うて やがてかなしき 鹿騒動

森楽さんのブログ、「雑木林で森を楽しむ!」から

-裏山にシカがかかった!大捕り物の末に!-

寒の水にカヤランの種

 日曜は、豊田市地区自治会の集会でした。そのため作手には、土曜、日帰りでゆきました。まず山荘に寄り、次に「道の駅」、そして大石さん宅に立ち寄り、ふたたび山荘に戻ってコーヒーと軽食をとり、帰路につきました。

 大石さん宅では、米を買いました。あわせて水をいただきます。米は、いつも玄米二十キロと決まっています。値段が安いからというのではなく、知った人から買うことの信頼感からです。米自体へのこだわりもありますが、わたしはむしろ人との関係を重視します。

 米を買うついでに、飲み水をいただくことが習慣となりました。大石さん宅はご自身管理の植林山を背負っているのですが、その山の地下水が大石さんの広田へと引かれ、また大石さん宅の生活水ともなっているのです。そのいわば湧水を、わたしたちはいただきます。

 いつも奥さまが、お世話をしてくださいます。妻とわたしとが連携プレーで水をペットボトルに移すあいだ、よもやまばなしで盛り上がります。今回の共通の話題は、今年の異常な冷たさ。作手では、去年の暮れから、ひと月以上も続いているとのこと。その他いろんな話で、おおいに笑ってしまいました。

 去りぎわ、カヤランの種もいただきました。はじめて種を見ました。うっすらと黄みがかったわた状の種。カヤランも貴重種です。以前、株をいただきテレジアの森の桜に着生させたのですが、なかなか増えません。いただいた種に、再度期待したいと思います。寒の水にカヤランの種、忘れてはいけない一日。

山荘への路と、山荘の屋根に解けのこる雪。二週間前の雪です。
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2011.2.5撮影

北玄関あたりの雪。うっすらと獣の足跡が見えます。
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2011.2.5撮影

同位置から、日の当たるところに向け。
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2011.2.5撮影

つくで「道の駅」芝生広場にも、雪がのこっていました。
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2011.2.5撮影

寒の水をコップに汲みました。おいしさが伝わるでしょうか。飲んだら、やっぱりうまい!
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2011.2.6撮影
プロフィール

カイ

Author:カイ
奥三河・作手郷の風景を、「テレジアの森」から、お届けします。2010年9月より、娘の生活、生い立ちをとおして、より深い心の風景としての作手郷を紹介します。

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