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のばらのやぶや腐植の湿地

 24日は、清岳向山湿原の草刈りでした。夏場の草刈りは、湿原周辺の道の草を刈るのですが、この時期は、湿原のなかの、主にヌマガヤを刈ります。刈った草は湿原の外に出し、別の場所に捨てに行きます。わたしは午前中だけの参加でしたが、地元のみなさんは、一日がかりの作業でした。

 さいわい天候も良く、気持ちよく作業をすることができました。とくに湿原の真ん中あたりから見た空の色が、真っ青なのが、印象的でした。またそんな空に向かって、やや冬枯れた杉の巨木がいく本か、ぐりぐりとねじ込むように突っ立っているのも、印象的でした。

 ところで、宮沢賢治の詩に、「春と修羅」という詩があります。次のように、はじまります。

心象のはひいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんの諂曲《てんごく》模様

 若い頃、この詩を読んだとき、よく分からず、これが賢治の言うところの心象風景なのだろうと、ばくぜんと思っていました。今でも、理解できないところがあります。それでも、分かったこともあります。たとえば例にあげた出だしの部分です。今では、これが実景をもとにしている表現であると理解できます。湿原の草刈りをしていると、たしかに「のばらのやぶや腐植の湿地」なのです。
 次のことばも、同様です。

正午の管楽《くわんがく》よりもしげく
 琥珀のかけらがそそぐとき

れいろうの天の海には
 聖玻璃《せいはり》の風が行き交ひ

ZYPRESSEN しづかにゆすれ
鳥はまた青ぞらを截る

 がんがんとするくらいの気持ちで湿原の草を刈っていると、このように表現された風景が、たしかに実感できます。同時に、賢治の表現力のものすごさには、圧倒されます。いかに賢治が、必死な思いで生きていたかが分かります。あらためて、彼の偉大さを思いました。
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やまかけそばと、「太陽の賛歌」

 この週末、一泊できるかなと、16日土曜、青い空に期待して出発。でも作手は、うっすらと雪が残り冷たい風が吹きまくっていました。道の駅の客もまばら。いつもの豆腐屋さんも、今日は多少寒さが緩みはしたものの、連日とにかく大変な冷たさだと、嘆いていました。

 山荘宿泊は断念。またまた、日帰りの作手詣でとなりました。年の暮れからつづく寒さは、二十年来作手に通い、初めての体験です。山荘入り口で、家族三人、熱いコーヒーを飲んで帰路につきました。

 途中、下山の「峠の茶屋」で昼を食べることにしました。いつもは人で混んでいるため、立ち寄ることはありません。でもこうした冷たい日は、さすがに空き席が目立っています。何年ぶりかに入り、昼食をとることにしました。やまかけそば二はいと、やまかけそば定食ひとつ。定食につくごはんにおかずを、三人で分けて食べます。

 配膳されるのを待つあいだ、それとなく店内を見回すと、そこはミニギャラリーとなっていました。岡崎市など地元の人たちが写した下山郷の写真がずらりと。しかし大きく目立つのは、前田真三氏の北海道の風景を写したポスター写真です。下山と北海道では、頭がちょっと? になりましたが、たぶん氏の写真集に「奥三河」があるからなのでしょう。わたしは写真の知識がまったくないので、このことはT&Tさんのブログ「きままにフォト」で教えられました。

 もうひとつ目立ったのは、大きくはないのですが、ミロの作品があったことです。ミロ独特の、奇妙なかたちの、よく分からない絵です。三河の風景とは、まったく関係がありません。なぜミロなんだ。そんな思いがしたのですが、ふと彼の「太陽の賛歌」を思い出しました。アッシジの聖フランシスコの詩に寄せて描いた作品群です。

 神よ/造られたすべてのものによって/わたしはあなたを賛美します。/わたしたちの兄弟、太陽によってあなたを賛美します。

 と始まり、月、星、風、その他自然事象のさまざまにより、神を賛美する言葉が続きます。

 やまかけそばを食べていたら、向かいの席の妻が、今日の空のなんて青いこと、と驚いたように言いました。ふり返ると、なるほど、「峠の茶屋」の窓ガラスを透かし、ひろく青い空に、白い雲……。感謝と至福のひとときでした。

しあわせな床屋さん

 9日土曜は、日帰りで作手の床屋さんに行きました。わたしが理髪をしている間、妻と娘は、車の中。日差しがあったので、車の中はあたたか。

 作手の床屋さんには、もう二十年近く通っています。通い始めた理由は、できるだけ作手で過ごしたいから。

 理髪をしていただくおかみさんは、同年代。なんでもない世間話をしながら、もう二十年近い歳月が流れました。お子さんたちも、今は結婚を経て、りっぱな大人。おかみさんにとっては、すでにお孫さんたちも。ご長男夫婦は、敷地内にログ風の家を新築なさいました。

 しあわせだなあ、とつくづく思います。親から子へ、子から孫へ。脈々と生活が引き継がれてゆきます。わたしたちの家族には、無い幸福です。

 おかみさんの、淡々としてあたたかな人柄。しっかりとつむぎ出される家族の絆。床屋さんのしあわせを、しみじみ思います。

雪の山峡

 2日の朝、豊田は霧雨。でも午後からは晴れとの予報に、作手の山に向かいました。予報はみごとに外れ、昼を過ぎても冷たい雪曇りの空。早々に帰路につきました。

 帰る途中、妻の誕生日だというので、ケーキを買いました。また豊田市郊外の古瀬間霊園に寄り、墓参りをしました。作手の山でとったシキミを供えただけでしたが、墓石に新鮮な緑が映え、それなりの美しさを感じました。

 雪の作手の山を写真にとりました。めったにない、機会です。帰る間際、妻と娘は車に乗せ、山をめぐって写しました。手足が凍えて痛いくらいでしたが、妙なる美しさがあります。下手な写真のせいで、表現できないのが、残念です。

 この正月、とにかく作手に行き、雪の山を見、墓参りができただけでも、ありがたいことでした。

以下、写真です。
モミの木に、ふんわり積もった雪が、印象的です。
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雪かきをした路を、山荘から妻と娘がくだってきます。
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こんなふうに、雪かきをしました。明るい、枯れ草芝の色です。
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路のうえの、山荘です。
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東側斜面の笹原の雪です。
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笹原近くから、山荘を写しました。
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さらに高いところから、山荘を。
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山の北に向かって。
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ちいさな谷を隔てた、西側斜面の赤松です。
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山の奥へと、さらに進みます。向かって左に赤松、右に黒松。
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コナラの木に積もった雪。みどりのコンポストの中は、落ち葉。
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山水がしみ出た、ちいさな池。
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これから山をくだります。獣の足跡が、雪の上にうっすらと残っています。
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山荘のところまで、降りてきました。
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車近くまで、きました。
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最後は、山の入り口近くの、ナンテンです。
左側ナンテンの手前は、タラの芽。
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プロフィール

カイ

Author:カイ
奥三河・作手郷の風景を、「テレジアの森」から、お届けします。2010年9月より、娘の生活、生い立ちをとおして、より深い心の風景としての作手郷を紹介します。

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